千夜千食

第140夜   2014年11月吉日

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同心「CHINESE TANAKA」

街場のカウンター中華ではあるが、その味と創作性において
チャイニーズ・キュイジーヌと呼んで差し支えないだろう。
夜、きちんと食べに来ることができまことに嬉しい。

 会社からもっとも近いチャイニーズである。すでに一度千夜千食している(第59夜)がサッと食べただけなので、こちらの本当の実力をゆっくりと味わえていない。ランチには通っていても、あまりに会社に近いのでなかなかちゃんと夜食べに行けないという事情もある。が、ある日、イシス編集学校の仲間たちとの会合があり、その帰りというか、打ち上げというか、決起集会というか、要はお題目は何でもいいのだがごはんでも食べようとという話になり、5人で立ち寄った。

 中華の魅力のひとつが、人数が多ければ多いほどいろんな皿をシェアできるということだろう。なので、コースもあったのだが、メニューを見ながら店のおすすめや気になる料理を注文した。こちらは紹興酒だけでなく、ワインもグラスで楽しめる。

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 幸い、オープンと同時ぐらいに入店したので、私たち以外にまだ客は入っていない。チャンスとばかり、矢継ぎ早に注文した。プチ貸切状態である。まずは、サクサクの春巻き。筍と春雨が入った餡はあくまでもとろりと熱く、ふはふはとその甘露を噛みしめる。海鮮の豆鼓炒めは季節の野菜の彩りが美しい。豆鼓の魔法をかけられた海老やイカの美味なることよ。酢豚はこちらの看板メニューで長崎の芳寿豚を使っているのがウリ。この芳寿豚、レアでも食べられるくらい健康的に育てられているのだそうで、ジューシーで柔らかいのが特徴である。黒酢を効かせた味付けも絶妙。魅惑の蟹玉は、なんと通常の蟹玉の上にさらに玉子の白身でつくった餡がかけられた贅沢なひと皿。玉子好きの血が騒ぐ一品である。そしてまた海鮮ものを(メニュー名を失念!)頼んでしまったのだが、こちらの料理も海老と白身魚の新鮮さが生きている。鶏の唐揚げも、豚の角煮も、正統派。いや、ほんと、5人もいたら食べたいものバンバン頼めちゃう。そろそろシメに・・・と担々麺を。胡麻がしっかり入った濃厚かつ贅沢な旨味。そして伊勢赤鶏の冷菜サラダ仕立ての後は、あら、こんな穴子もなかなかいける・・・デザートにミニ春巻きをいただいて、怒涛のチャイニーズディナー全11品。これだけの料理をたったひとりで、たったひとつの中華鍋をふるって、作ってくれるのである。

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 それからしばらくたったある日、今度はふたりで訪れた。まずは、鯛の中華風サラダ。こちらは毎日のようにその日穫れた魚を仕入れており、いろいろ好みやおすすめで料理してくれるのである。その日仕入れた魚は、フェイスブックで紹介しているので事前にチェックできる。本日のスペシャルメニューには、白川豆腐さんのピータン豆腐というのがあり、それも頼む。白川豆腐というのは近所にある豆腐屋さんで、何度か豆乳を買ったことがあるが、そこの豆腐にざくざく刻んだピータンが乗せられており病みつきにある味である。白川豆腐も実においしい。こういうのも地産地消の一種と言えば言えなくもない。伊勢赤鶏の冷菜黒芝麻醤はしっとりした鶏の味わいにこってりがからみ、箸が進むったらありゃしない。海鮮と季節の野菜の豆鼓炒めは前回もいただいたけど、大好きな味である。もちろんスペシャル&デリシャスな蟹玉も頼まずにはいられない。もう一品、スペシャルメニューの大阪産の穴子と茄子の揚げ物柚子ソースというのも頼んでみた。素材の取り合わせが何ともクリエイティブな上、柚子ソースというのが新鮮である。和の素材と香りが中華という方法によって、こんなにも魅惑的な一品になるなんて。デザートには胡麻のプリンをいただいた。

 こういう店が会社のすぐ近所にあるのは、ランチの充実という意味では喜ばしいのだが、夜なかなか行けない(あまりに近すぎて行きにくい)のが残念である。いや、行けばいいんだけどね。