千夜千食

第158夜   2014年12月吉日

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忘年会@会社サロン

ここ数年、新人歓迎会も忘年会も
会社の一階にあるブックサロンでやる。
隣の和食屋さんのケータリングが凄いんだ。

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 歓迎会や忘年会ができる店というのは限られる。総勢15名であるので個室が理想なのであるが、ちょうどいい店がなかなか見つからない。チェーン系の居酒屋はまっぴらごめんだし、それなりの店になると騒ぎにくいし。で、数年前に一度お試しで会社の一階でやることにした。ちょうどすぐ隣になかなかエッジの利いた料理を出す店もあるので、そこに予算を伝えつくってもらうことにした。隣の大将、おもいっきり張り切ってくれ、実に贅沢な素材を使った料理を出してくれた。素材がいい上に、美味しいのだから、今は社員の誰もが外に行きたがらない。

 会社でやると、シャンパンは飲み放題、それなりのワインもビールも、何ならウィスキーも日本酒も飲めるし、いただきものの貴重なお酒もこういうときには開ける。で、酔っ払ったらソファで寝られるし、煙草も吸い放題だし、すぐ上に行けば仕事も続行できるし、クライアント様からの電話にも出られる。いいことづくめである。すっかり習慣化しているのである。

 仕込みは簡単。まず、デザート用のスイーツはあらかじめ宅配で注文しておく。こういうときのために持ち駒はいろいろある。で、隣に予算と時間を伝える。こういうときのために趣味で集めている大皿が役に立つ。近所のワイン屋でシャンパンと赤白ワインを配達してもらう。お酒も飲食店で支払う金額の半額以下で、たいそう素晴らしいクオリティのものが買える。気持ちに余裕があれば、近所で花を買ってきて活ける。ダンドリは、たったこれだけである。

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 忘年会当日。まずは恒例のシャンパンによる乾杯である。一階のサロン開きのお披露目パーティをしたとき、シャンパングラス(のカタチをしたプラスティックのにせもの)は死ぬほどある。これに、レア物(近所のワイン屋さんプッシュのポル・ロジェ、サー・チャーチルが愛したシャンパンとしても知られているそうな)シャンパンを注ぐ。ウチの男どもはビール党だし、女のコたちは酒に弱い子が多いので、シャンパン飲み放題といっても、それはほとんど私一人が飲み放題という意味である(笑)。

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 料理は、まずはビーフと海老のサラダであるが、この肉のクオリティを見よ。サラダにしているのにもかかわらず、サシが入っているのである。海老もそのまま生で食べたいぐらいのレベルのものを惜しげもなくふんだんに使っている。小皿に乗っているのは、牡蠣のスモーク、イカの塩辛、黒豆、砂肝の煮付けなど、酒の肴になりそうなものばかり。日本酒に変えたいのだが、シャンパンが開いているので、無理やり合わせる。悪くない。圧巻の串刺しは、鶏の肉団子。大将は、手間がかかるのにこうやって実に意表をつくメニューを毎回考えてくれるのだ。そして、外側をこんがり炙った地鶏のロースト。生状態の身は美しいピンク色である。新鮮な鶏でなければ、こんなことはできないのである。

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 このあたりから、ワインも白やら赤やらをポンポン開ける。これは今回チャレンジしたレ・マッキオーレのパレオ・ロッソ。イタリアの複雑系フルボディである。小売価格で6,000円くらいだから、普通飲食店では頼みにくいクラスのワインである。会社でやるとこういう飲み方ができるのである。

 刺身盛りはさらに豪快かつゴージャスである。時は12月。そうずわい蟹の季節である。鳥取の松葉ガニというタグつきのお蟹様である。そして、イカにシメ鯖、ぶり、鯛、鰆、マグロの赤身に中トロ。もう社員一同レロレロである。続いて黒豚ロースのとんかつ。これは昨年も出て、男どもに人気であったので今回もリクエストした。こだわった素材の揚げたてだから、ほんまたまりませんな。

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 シメはお鍋。牡蠣がゴロゴロ入った鍋だったのであるが・・・後半戦、いきなり大将が皿を持ち、入ってきて鍋に投入したのは白子!白子といってもですね、ご覧のようにこれは【ふぐの白子】。目の前で気前よく入れてくれるんである。感涙にむせびながら、鍋をすする。そして、残ったこの美しいスープを見よ。頃合いをみはからって再び大将が登場。今度は卵と葱持ってきて、雑炊をつくってくれるのである。しかも。ふたつある鍋のうち、もうひとつにはパルミジャーノを投入するではないか。和と洋のツーバージョン。うふふ。ふふふふふ。白子と牡蠣のエキスがたっぷりつまったスペシャル雑炊。頑張った一年の終わりにふさわしい忘年会のメインディッシュ!私は、二杯おかわりした。

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 とまあ、毎回こんな具合のゴージャスなラインナップなのである。今年のデザートは、神楽坂の紀の善から取り寄せた抹茶ババロアである。あんこと生クリームつき。これ、大好物なんであるよ。さんざん贅沢三昧した後でいただく抹茶ババロア。みんな黙ってもくもくと食べる。が、そそれぞれの顔を見やれば、全員が満足そうな幸せそうな表情になっている。今年も一年お疲れさまでした。