千夜千食

第46夜   2014年3月吉日

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大阪福島・鮨処「敏」

十四代の品揃えが凄かったものだから
水のようにがぶがぶ飲み酔っぱらい
すでに8時前にはへべれけになりにけり。

 仕事で親しくしている方からのお誘いである。とても食環境の豊かな地に部署が変わったので、秘密の隠れ家に行きましょうとのオファーである。はい、喜んで。会社見学に夕方でかけ、6時前には繁華街に移動。ちょっと待って。こんなまだ明るいうちからお酒を飲むなんていいのかしら。いや、これも仕事のうちなので、いいのである。何も問題はない。

 連れて行かれたのは福島の阪神高速池田線の出入口近く。この辺のエリアは今やうまいもの激戦区である。店構えはなかなか洒落ている。L型カウンターと入り口にはテーブル席。その横には大型冷蔵庫。中を覗くと、ズラリと並ぶ十四代。

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 大将は若い。が、大阪のリッツカールトンの和食の鮨コーナーで修行したという。一度だけお昼に鮨をいただいたことがある。それよりも何よりも、こんなに若いのにこんなに良さげなお店を持てるなんて凄いに決まっている。期待が高まるではないか。

 そして、酒。すでに冷蔵庫を覗いて凄いのがいっぱいあることを知っている。「十四代いろいろ行きまひょか」というお誘いに、「もちろん」と元気よく応える。

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 ツマミはのれそれと雲丹が仲良くデュエットする一品。生の無濾過、中取り純生の十四代というのをいただく。うーん、水の如し。ぐいぐい。ぐびぐび。肴は血の色をしたマグロとさっと炙ったカツオ。もずくトマトは、「ふーん、こんな取り合わせがあるのね」と驚く旨さ。海の酸味と里の酸味の合体。続きまして、鯛と鯖。それぞれなかなかのイキですぞ。ここで備前雄町の米でつくった十四代。あらら、生のホタルイカとよく合う。ぐびぐび。と、中入りの茶碗蒸し。なかなかこの間の取り方が心憎いやね。そしてままたくまに三杯目の十四代、こんどは本生酒のおりからみ、槽垂れというスペシャル。アテにと出されたのは、ねっとりした白味噌に金山寺。あら、これだけでもう何杯も進んじゃう。

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 ぼちぼち握っていいですかに、頷きながら、まあ、なんてきれいなイカでしょう。ここで、東一を薦められる。これもキリキリした旨い酒。だけどさ。それよりもなによりも、ちょっとみーさん、凄いペースなんですけど。ほとんど水を飲んでるみたい。ペース早すぎゃあ、しませんか?瞬く間に東一もなくなってしまう。お鮨の方は、肝を乗せたカワハギ、炙った金目鯛、コリコリのぶり、車海老と続く。「十四代も美味しいけど、私いま新政のナンバーシックスというのにハマってて」と言うと、大将「あるよ」だって(正確には「ありますよ」とちゃんと言った)。ナンバーシックスのR-type。このシリーズ大好物なんです。そしてイクラは小さな丼仕立て。楽しい!美味しい!愉快!そして真打ちの大トロ登場。これに対抗できるのは真打ちの黒龍しずく。もう、ここまでですでに日本酒、6種類。味わうというより、もうぐいんぐいん飲んでる。最後にコハダをいただいて、なんだかもうお腹がいっぱい。

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 あっという間に店を出て、タクシー拾って「帰ろ」。「今日わあ〜有難うおおお、ございましたあああ〜。ご馳走ううううさまでえええしたあああ〜」と梅田で降ろしてもらうも、心なしか(いや、確実に)酔っ払ってる。凄いペースで日本酒飲んだし。べろんべろん、で気持ちがいいわ。へべれけで何だか気も大きくなっている。ういっ。早い時間の阪急電車は、ノンストップで新開地まで行く、ということを認識できないほど酔っ払っている。電車に乗ったはいいけれど、次に、はた、と気づいたときには、なんだか見慣れぬ駅のタイル貼り。「ここはどこ?」アナウンスが「新開地〜新開地〜」わーお。思いっきり爆睡してこんなところまで来てしまった。とはいえ、時間はまだ9時前。引き返すったって、時間はたっぷり。余裕しゃくしゃく。

 酔い醒ましのカクテルを飲みに、天皇バーに立ち寄ったのは言うまでもない(あんまり覚えてないけど)。

 何やってるんだ。