千夜千食

第77夜   2014年5月吉日

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有楽町「ヘイフンテラス」

軽やかで、ヘルシーなのがちょうどよい。
石垣島の食材を使った特選ランチ。
こういう日中コラボメニューは楽しい。

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 ヘイフンテラスは有楽町ザ・ペニンシュラ東京の中にある。ここのホテルは部屋も含めインテリアはグッドテイストなのだが、いかんせん一階のロビーが狭く、朝ごはんを食べたりお茶をするにはあまりくつろげない。その上、休日の昼頃ともなると、アフタヌーンティーの順番を待つお客さんの長蛇の列でロビー全体がとても喧しい。だが、二階にあるここは別である。イメージは蘇州の中国庭園。鳥かごなども吊られ、一瞬ここが日本であることを忘れそうになるくらいインテリアには凝っている。オープン当初何度か来てからは何となく足が遠のいていたのだが、久々に思い出しやってきた。まあ、有楽町で昨夜のリベンジをしておかないと、という向こうっ気もある(笑)。

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 ランチメニューに「石垣島菜譜」とある。島豆腐とか石垣産もろみ豚とかパパイヤのローカル食材に惹かれ、チャレンジすることにした。前菜は、手作り点心入りの盛り合わせ。翡翠色の蒸し餃子には海藻がたっぷり。手前の二色の金魚には、ぷるぷるの海老が入ってる。スープは、海鮮とキヌガサ茸、アオサ、島豆腐入り。この島豆腐、しっかり大豆の味わいが残っていて美味。アオサが入っているのもいかにもヘルシーで、小気味良く喉を通って行く。中華といえばカロリーが高そうで、脂っこいイメージがあるが、こんな沖縄の食材なら大歓迎である。メインは、石垣島産もろみ豚と冬瓜の黒豆ソース煮込み。泡盛の酒粕を食べて育ったもろみ豚は、今やあぐー豚と肩を並べるブランドになっているのだそう。酒粕で育てられるなんて、なんと幸せな豚だろう。柔らかな肉質である。黒豆ソースとも相性がよい。シメは石垣島産白ニガウリとフィッシュスープの沖縄そば。一見濃厚に見える白いスープは魚のエキスがたっぷりで、まったくしつこくない。ニガウリにスープがよく染みこんでむにゅりとした絶妙の食感である。デザートは石垣島産パパイヤのプリンと胡麻団子。ひんやり冷たいプリンとあつあつの胡麻団子のコーディネーションが実に心憎い。軽やかで、ヘルシーで、しっかり美味しいランチコースであった。

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 最初にグラスシャンパンを頼んだので、おつまみには胡桃の飴だきが出された。実はこれ、大好物。大昔、こちらのホテルに泊まったときは、スペシャルに部屋に持ち帰る分までもらって帰ったことがある。胡桃を贅沢に飴だきして、胡麻をかけただけのデザートであるが、これが何とも癖になる味なのだ。ま、シャンパンと一緒にというよりは、ソファに寝転がってビデオでも見ながらカリカリ、ポリポリしたい贅沢おやつであろう。(カロリーのことは考えない・・・)

 こちらのヘイフンテラスにはもうひとつ名物メニューがある。「豚バラ肉の角煮 宝塔仕立て」。東北産のプラチナポークのバラ肉を、甘辛いタレで煮込んだいわゆる角煮なのだが、この角煮を四角くつなげて切って、塔に見立てて重ねていくというユニークな形が売り。これを蒸しパンに包んで食べるのである。とろとろに溶けかけている角煮とそののエキスを蒸しパンが頼もしく吸い取ってくれるのである。その甘美な味わいに、きっと誰しもがくらくらしてしまうであろう。大人数で行くなら、絶対おすすめである。二人ぐらいだと、それだけで食事が終わってしまうのでなかなか注文できないが。