千夜千食

第80夜   2014年5月吉日

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逗子の「シネマアミーゴ」

映画を観ながら本格的なマクロビランチ。
このレベルなら夜も来たくなる。
隣のパン屋さんも美味しいので有名なんだって。

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 逗子の住宅街の中にある古い一軒家。それを見事に利用して、カフェ&シネマにしているのがここだ。映画好きのオーナーが、映画を観ながら食事ができるようにと改装している20席ほどの小さな映画館。店の名前は「シネマアミーゴ」。洒落ている。

 ここ逗子では毎年ゴールデンウィークに逗子海岸映画祭「海の映画館」が催されている。これは、「Play with the earth」地球を遊ぼうをコンセプトに、国内外の優れた映画を海岸で上映するという屋外型映画祭であるらしい。逗子、葉山、鎌倉などの人たちが中心になって運営されているらしいのだが、さすがに湘南は民度が高い(ような気がする)。こちらのカフェにも、縁のあるクリエーターの作品や書籍などが展示販売されており、そこはかとなくインテリジェンスを感じる空間になっている。

 本日はこちらで撮影の仕事なのだが、カフェも兼ねており、マクロビ料理を作ると聞いていたので、撮影スタッフの朝ご飯とお昼ご飯の両方をお願いした。一カ所でどちらも賄えるというのは、時間的にも有り難いのである。

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 朝食は、おにぎりに麸焼き、豆腐、きんぴら、筍などの焼き物。どれも、丁寧につくられていて、滋味という言葉がぴったりのやさしい味だった。お待ちかねのランチは、スタッフから「色がきれい!美味しそう!」と歓声があがった色鮮やかなプレート。一見、凄いカラフルで人工的な色に見えるのだが、実はどれも自然の生き生きした色なのだ。ショッキングピンクのスープは、ビーツのポタージュ。今ではすっかりおなじみになったが、あの赤い色したサトウダイコンの一種は、こんなにもヴィヴィッドな色になるのである。適度な酸っぱさをとてもうまく調理した佳い味である。プレートは上から時計回りにチキンとキャロットのオープンサンド、グリーンピースとじゃがいものペーストを乗せたオープンサンド。パンがカリカリで、チキンもペーストもしっかり味が乗っており、美味しくいただいた。紫色はデザートのヴィーガンカップケーキ。ヴィーガン(vegan)とは、卵も乳製品も動物性の食材を一切使っていないということで、きわめてマクロビと近い考え方の元作られている。(私には一生縁がないと思うが、ベジタリアンの世界も、ポロタリアンとかペスキタリアンとかいろんな階層があるらしい。)6時の位置にあるのが真鯛のローズマリー焼き、カンパチとルッコラの生春巻き、二色の人参と根昆布のサラダ。どれもひと口サイズなのが可愛い。こういうメイン的なものをいろいろ小ぶりでいただくと、幸せな気持ちになります。グラスに入っているのは3色トマトのマリネ。ミントの香りもフレッシュ。そして地野菜のリーフのアンチョビソース添え、野菜をバリバリ食べるとそれだけで健康的なことをしている気持ちになる。ソースとの相性もばつぐん。そして最後にパッションフルーツでお口の中をすっきりさせる。とまあこんな具合。

 こういうランチがいただけるのなら、映画を観ながらの食事もおおいに期待できそう。だけど、今のところ、夜、逗子に来るというのはなかなか実現しそうにないので、近くの人がうらやましい。