千夜千食

第84夜   2014年6月吉日

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「ちょろり」でディナー

ずーっとここにちゃんとした時間に来たかった。
その野望が、とうとう叶ったのだ。
大勢でわいわい来て、食べるのが楽しいね。

 ついに叶った。ついに来た。午後7時のちょろり。ディナータイム。深夜のシメでしか来たことのない店に、堂々と晩御飯を食べにくる日が来るなんて、少々気恥ずかしい。深夜にいつもいる(鶴のような)おじさん、当然この時間帯にもいる。きっと面は割れているだろう。

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 厨房の上に高々と掲げられているメニューをゆっくりと見る。いつもは右のラーメンコーナーからワンタンめんの麺半分に味付玉子をトッピング。それにビールぐらいなのだが今夜は違う。左のおつまみコーナーをゆっくりと見て、さあ、何から行こうか。私が、いつもちょろりの話をするので、いっぺん行きたいというスタイリストたちとウチの会社の子と、今夜は4人連れである。なんでもばんばん食べられる。

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 まずは、味付肉盛。すごいど直球ネーミングである。肉というのは、関西では当然牛肉だが、東京では豚肉をさす。ここは基本ラーメン屋だし、牛肉メニューはどこにも見当たらないから、豚肉であろう。そういう肉問題にももう慣れた。ようがす。味付豚肉盛、行きやしょう。ゴロゴロした豚肉の塊の上から、醤油ベースの甘めのたれがかかった一品。わしわし、とビールと共に。いいねえ。続いて、味付もやしと中華冷や奴、それにギョーザ二人前。もやしのシンプルさに痺れちゃう。ギョーザもカリカリで馬鹿馬である。

 ところが、すでにもうお腹いっぱいと弱音をはくもの約三名。私以外はもうラーメンも一人前食べられるかどうかわからんというではないか・・・。ようがすよ。そろそろラーメンタイムにしましょうか。みんなは半分にしたらいい。私は、いつもは麺半分にしてもらうワンタンめん、今夜はちゃんと一人前麺を食べるから。

 おじさあ〜ん。私はワンタンめん、味付玉子入りね〜

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 ああ、なんとゴージャスなんでしょう。カンペキなちょろりのワンタンめん。憧れのフルバージョン。麺はしこしこのちょっと太めのストレート麺。ワンタンはつるつるのトロトロ。そこに焦がし葱を浮かせた香湯(シャンタン)系の醤油スープが絶妙にからむ。さっぱりしているのに、香ばしく、普段ラーメンなどあまり食べない私もこの味には参っているのさ。しっかり固めの味付玉子はちゃんと双子になっている。シャキシャキめんまと、このキヌサヤがまたいいの。今日はスープも全部飲んじゃお。

 ラーメン通に言わせると、ここは台湾系のお店だと聞くのだけれど、どこで修業したかとか、どこ系の流れをくんでいるのとか、きっと調べると面白いんだろうな。ま、東京ラーメンはここがあればいいや。