千夜千食

第87夜   2014年6月吉日

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火曜日の「中華スープ」

日々の残業弁当の秘かな楽しみは
火曜日にやって来るスペシャルな中華スープ。
これね、毎週とっても楽しみにしているの。

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 前夜に続いて、残業弁当の話。毎回、お弁当にお味噌汁をつけてもらう。たいていは、豆腐と若布とか、きのこと厚揚げとか、大根と葱とかの定番スタイルである。で、ときどきスペシャルで豚汁や粕汁、コーンスープとかが来るのであるが、そのスペシャルバージョンに「中華スープ」というのがある。

 これが、めっぽう旨いのだ。

 口をつけると、ぷん!と胡麻油のよい香り。人参と白菜と春雨がたっぷり入っていて、生姜のきいた鶏団子がゴロゴロ入っているの。一度レシピを聞いて、家でも作ってみたことがあるけど、こっそり味覇(ウエイパー)をごくごく少量入れるらしい。こういうケミカルなものも使いようだなと思う。要は調理する人のセンスですね。

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 この中華スープ、大好物である。あったかくて、白菜がいっぱいで、春雨もとろとろで、心がほんわか柔らかくなる味。ところが、ママはおかずのリクエスト受け付けますとつねづね言っているので、中華スープは週に1回はほしいと言っては見たものの、なかなか作ってくれないのである。ま、これ鶏団子をつくるだけでも、けっこう手間だからね。だけど、しつこい私は、「中華スープ、中華スープしてよ〜」と言い続けた。す、すると、ちょくちょく出るようになったのだ。ところが、タイミングが悪く、東京に夕方移動の金曜日とか出張でいない日に限って、中華スープが出てくるらしい。「いないときに限って、中華スープでしたよ」「また、出張のとき中華スープでした〜」など聞かされるとなんだか無性に腹が立ってくる。弁当係に「あんた、わざと私のおらん日に頼んどるやろ」とか「いやがらせやな」などさんざん暴言をはき、「そんなことしませんって」と顰蹙もかいながら一年ぐらいが過ぎた。しつこく中華スープは?と言い続ける日々。ところが、ここ半年くらい、とうとう火曜日が中華スープの日となったのである。

 しばらくは、半信半疑であった。毎火曜日の夜に、ああ今日も中華スープだと胸を撫で下ろし、それが5回ほど続いた頃、ああついに火曜日は中華スープの日になったのだと心から安心した。だから、火曜日はなるべく外食のアポイントメントをいれない。できれば出張もしたくない。私の火曜日は、完全に中華スープに左右されている。