千夜千食

第90夜   2014年6月吉日

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四川の「翡翠麺」

夏限定のきれいな彩りの翡翠麺。
ここに尋常じゃない量の具と
ぴりっと辛いたれをたっぷりかけていただくのである。

 またまた四川である。メニューをパラパラ見ていたら、夏限定というのを発見した。「四川特製胡麻風味 酢辛冷やしそば」とある。バンバンジー風味であるらしい。

 トーゼン、注文せずにはいられない。

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 やがてうやうやしく運ばれて来たのはきれいなグリーンの翡翠麺。まわりにはこちらも鮮やかなイエローの錦糸卵、そしてもやし、しいたけ、焼豚がいずれも千切りになって麺を取り囲んでいる。し、しかも、別皿できゅうり、鶏肉、くらげ、トマトがついている。胡麻だれもたっぷりガラスのうつわに入って一緒に出される。

 なんという具沢山。なんという椀飯振舞。なんという豪勢さ。

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 ふっふっふ。ひとりほくそ笑みながら、小皿から鶏肉、きゅうり、くらげ、トマトを取り、翡翠麺の上にのせてたれをかける。清楚な翡翠麺が、たちまち手だれの年増のように誘いかけてくる。ごくり。さっそくいただいてみれば、胡麻だれのコクが口いっぱいに広がり、少し遅れて辛みがやってくる。年増も年増、大年増、いやほとんど遣り手の手練のよう。もう夢中になって食べる。汗を流しながら食べる。いつまでも食べ続けていたい。終わらないでほしい。口の中が痺れてきたら、やさしい錦糸卵やみずいずしいきゅうりで一休み。そして再び胡麻だれをかけ、味の変化を楽しむ。痺れ地獄に入ってく。

 これ、夏だけしか食べられないなんて・・・。通年ある裏メニューにならないかな・・・