千夜千食

第136夜   2014年10月吉日

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六甲鮨「魚光」

地元で愛されている繁盛店である。
ネタも新鮮だし、魚料理も充実している。
ただし、常連になるにはちょいとハードルが高そうである。

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 前にも嘆いたと思うが(第38夜)、近所にあった御用達の鮨屋が忽然と消えてからというもの、それに変わる店はいくつかはできたものの、あいかわらず地元六甲で鮨難民であることに変わりはない。なにしろ、そのご近所鮨はコストパフォーマンスの部分でも光っており、毎週行っても懐がびくともしないということでも得難かったのである。

 こちらの店は、魚屋さんがやっていて、魚好きにはこたえられない店であるという噂。大昔一度だけ行ったこともあるのだが、正直あまりよくは覚えていない。だが、家から歩いていける距離に鮨屋はほしい。なわけで、とある週末の夜に出かけることにした。

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 オープンと同時に入店したが、瞬く間に席が埋まっていく。カウンターは10〜12席ぐらいか。後ろには10人ほど入れそうなお座敷もある。突き出しは、湯葉を茶碗蒸しのように仕立てた一品。湯葉の風味が濃い目の出汁にからまってこっくりと美味しい。日本酒は奥播磨の深山霽月(みやませいげつ)の純吟。下にお皿を引いてなみなみと注いでくれるスタイルだ。(余談だが、私はこのスタイルがちょっと苦手。いつも、あふれさせなくていいからとぎりぎりぐらいでお願いする。だって、お皿に残った日本酒残すわけにいかないでしょ。そうまでして飲みたくない。どうせなら、きれいに飲みたい。)

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 さてと。では、本日の活きのいいお魚を盛り合わせてもらおうか。淡路の鯛、かれい、鰆、愛媛のカンパチ、日高のぶり、五島の剣先イカ、マグロ・・・充実のラインナップである。カウンターの中に生け簀があるので、魚の種類はとても多い。そして、好物の鱈の白子。これはもうメニューにありさえすれば、どこででも必ず注文する一品である。調子に乗って酢の物も注文した。海老、穴子、鯖、子持ち昆布にタコなどが気前よく盛られている。でもって、隠岐ののどぐろの焼いたの。目玉が実はいちばん好きなので、これは連れに遠慮せずもらう。骨まできれいにしゃぶるようにいただいた。私は猫またぎの女なのである。

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 鮨は、ぶり、カンパチ、大トロ、雲丹、玉子はこんな楽しい巻き巻きスタイルで出してくれる。穴子は蒸して軽く炙ったのと、焼き穴子。ネタも新鮮で種類も豊富、そして適度にカジュアルという店の雰囲気は、普段使いの鮨屋としてはじゅうぶん合格である。

 それにここはかなり近隣の人たちに人気があると見た。家族連れが多いのである。それはそれで悪いことではない。隣に座った親子4人連れなどは、親は鮨を食べているのだが、まだ小さい子供たちは玉子焼きと海苔、焼穴子をもらって、それをおかずにごはんを食べている。ううむ、こんな鮨屋の使い方があったのか。親がよっぽど鮨が食べたくて、それで無理やり子供も連れてくる。あまり生ものを食べさせるわけにはいかないけど、玉子焼きとか穴子ならおかずになるし。なるほどねえ。勉強になります。だけど、隣で酒をへらへら飲むことにちょっとだけたじろぐ、躊躇する。お子さんの横で、べろべろになって暴れたりできないではないか。いや、暴れはしないけどね。イメージの話です。

 小さな子連れだけじゃない。夫婦だけでもない。なんだか親戚連れとか、ご近所さん同士とか、きわめてファミリーアトモスフィアな店内。ある意味、プライバシー筒抜け状態である。ま、それが地元の店の良さでもあるけれど。足繁く通って常連になったら、財布を忘れてきてもオーケイみたいになりそう。そういうわけで、まだまだ私にとってはアウェイ感いっぱい、常連になる日は遠そうである。