Noma’s「エッグベネディクト」
朝ごはんの名店はいろいろあるけれど
ここのエッグベネディクトは別格だ。
だってね、卵の下はマフィンじゃなくアレなんです。
セントラルパークにほど近い56丁目。5thと6thの間にそのホテルはある。ロビーを入って(56丁目から)奥左手に、朝食で名高いNoma’sがある。というより、帰国する前の二日間だけ泊まったホテルの斜め前にそのホテルがあることを発見した。ル・パーカー・メリディアン。そして、遠い記憶の中でここの朝食がとっても美味しかったということを思い出す。昔は行列に並んでいたが、最近はネットで予約できる。前日の夜にチェックすると8時の予約が取れた。その時間に出向くと、ちゃんと席があるというのはいい。
ここはエッグベネディクトだけでなく、パンケーキのバリエーションが充実しているのに加え、フレンチトーストやクレープなど魅惑的なメニューがいっぱいある。が、どれも信じられないくらいのボリュームで、しかもクリームやフルーツやシロップてんこ盛り状態。こんなの毎朝食べていたらそりゃあ肥満体になるだろうと思わせるようなものばかり。注文には細心の注意が必要なのである。
テーブルにつくと小さなスムージーを持って来てくれる。絞りたてのオレンジジュースもおかわり自由である(量が多いのでおかわりは無理であるが)。それにコーヒーを飲むだけで、少食な人ならおなかがいっぱいになるだろう。メニューを眺めながらさんざん悩んだあげく、エッグベネディクトにした。卵がないとやっぱり朝は始まらない。
やがて運ばれて来たエッグベネディクトは堂々たる威容。スプラウトらしき野菜とジャガイモがゴロゴロしているのが一見ヘルシーに思えるのであるが、それがカロリーを上げるのに一役買っていることは間違いない。そのかわり、オランディーズソースはわりあいさっぱりしており、ちょっと安心する。ま、安心するとは言っても、総カロリーはたいそう高いと推察される。ここはアメリカである。そんなことで怯んでいては、美味しいものにはありつけない。さて、いただくとしようか。卵の真ん中にぐぐっとナイフを入れると、あれ、下の台はマフィンではなくて、ふんわりしたパンケーキなのである。
つまり、ポーチドエッグやハムを味わいつつ、Noma’s名物のパンケーキもいただけるという寸法。これは凄いと思いませんか?せっかくニューヨークに来ているのだから、名物パンケーキは食べたい。だけど、パンケーキだけだと甘ったるくて朝ごはんとしては満足できない。卵やハムをサイドオーダーしてもいいけど、それはそれで量が多すぎる。そんな優雅な迷いをこのひと皿が解決してくれるのだ。それにマフィンよりパンケーキの方が、口当たりもソフトで、このさっぱりめのオランディーズソースともよく合っている。そういうことも計算済みでこのメニューが組み立てられているのであろう。美味しいだけでなく、よくできていると感心する。
久しぶりのNoma’sの朝ごはん。パンケーキのエッグベネディクトがある限り、私はきっと来年もここに来るだろう。