千夜千食

第215夜   2015年4月吉日

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大阪天満「じん田」

たまたま阪急百貨店で見つけた一品。
食べてみたら、美味しいのなんのって。
これは、ハマるわ。これは、クセになりそうだわ。

 お遣い物の和菓子を買いに阪急百貨店の地下食料品売り場に出向いた。菓子コーナーに行く道すがら、実に魅力的な弁当を売っているコーナーがある。足を止めたのは、美味しそうなうな重弁当を売っている店の前。気になる一品があった。

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 三色巻。

 外側は黄金色に輝く卵、黒い海苔、中は何やら食欲をそそるごはんの茶色、そして中央には紛うことなき鰻がおわす。そう、三色巻とは鰻をタレを染み込ませたごはんで海苔巻きにし、さらに外側を卵焼きで巻いた黄・黒・茶の巻物なのである。

 うな丼と、う巻きを足して、食べやすくしたような三色巻。これを持ち帰り、お昼に食べ、まったくなんて味なんだと感嘆し、店の住所を見てみると、なんとご近所ではないか。店があるのは、天満市場の少し北。創業100年の鰻の老舗である。

 まず鰻はすべて国産。主な産地は徳島と愛知らしいが、産地にこだわるのではなく、その時期に旨い国産、良質で安全な国産ということに重きを置いているらしい。そして、初代が戦時中にもタレ壺を肌身離さなかったという秘伝のタレは継ぎ足され、今も守られているという。その国産の鰻を関西伝統の腹開きにし、紀州備長炭で熟練した職人の手技で焼き上げる。三色巻を食べただけでも、旨いのに、鰻の炭火焼きならどんな口福が待っているのだろう。

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 店になかなか行く機会はなかったのだが、会社で歓迎会を催すこととなり、ごはんの部の一部にこれを出すことにした。他にもご馳走はいろいろあるので、一人二個見当で用意したが、さすがに美味しいだけあってなくなるのは早く、アッという間であった。写真のように、こうして大量を大皿に盛り付けると、もうそれだけで凄いインパクトがある。パーティの一品として、これほど活躍するとは予想もつかなんだ。近々に、天満の店の方も訪ねたい。