千夜千食

第236夜   2015年5月吉日

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いつもの白金「モレスク」

黒板メニューを見ていたら、大好きな野菜を発見。
その名は、「ラディッキオ」。近所のスーパーで
ずっと探しているけど、お目にかかれないんですよ。

 平均すると東京出張が月3~4回。そのうち半分くらいが、泊まりであるので、モレスクへは最低でも月1回は通っていることになろうか。あればいつも注文してしまうお気に入りのメニューもあるのだが、前菜もメインも季節に応じて少しずつ変わるのでいつも目が離せない。

 ある日見つけたのが、このラディッキオを使った一品。以前、油面のイタリアン(第89夜)で食し、そのシャキシャキの食感とほろ苦く酸っぱい味にノックアウトされたので、“ラディッキオ”というワードに反応し、一も二もなく飛びついた。

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 が、その前に、冷製グリーンピースのポタージュとコンソメのカクテルスープをいただく。これはなんと、二層になったスープで、下のコンソメはゼリー状になって、上のポタージュとの食感の違いを楽しむのである。ひとつで二度美味しいうれしいお料理。むふふ、の旨さである。

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 そうしてお待ちかね、ラディッキオとヤリイカのサラダ、アンチョビソースがやってきた。ラディッキオとイカという取り合わせ、ちょっと意外に思うのだが、この異業種をアンチョビソースがうまくまとめ上げ、こたえられない独特の美味を生んでいる。苦味と旨みのマリアージュとでも言おうか。ラディッキオのほろ苦酸っぱさに、アンチョビソースをまとったイカの濃厚さがからんでで絶妙なマッチングなんである。

 ラディッキオ。あまり野菜を積極的に食べない私を虜にした野菜。ワインレッドと白のコントラストが綺麗なゴージャスなルックス。キク科の植物で、チコリやエンダイブの仲間なんだそう。そうか、私自分であんまり買わないけど、チコリも好きだもんな、とひとり納得。それに、なんとカリウムはキャベツの1.5倍。抗酸化作用にも優れているらしい。そしてシーフードとの相性もいいらしいのだ。なるほどねえ。

 ラディッキオの原産地はイタリア。最近ではアメリカやチリからも輸入されているらしいし、日本でも栽培されているらしい。なのに、家の近所のイカリスーパーや阪急オアシスではお目にかかったことがない。まだローカルには出回っていないということか。阪急とか大丸の地下なら置いてるんだろうか。ま、わざわざ探して調理するほど、まだ時間的なゆとりがないので、食べたいときはここに来ればいいんだけどね。

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 ラディッキオと一緒に頼んだのは、タコとカブのガーリックマリネ。こちらも、なかなかのお味である。メインは、タンドリーチキン。タンドリーなど店内をどう探したってないのに、これはどう見たってタンドリーチキンなんである。ナイフを入れると小気味良くスッと入る。やっぱりタンドリーチキンである。シェフにどうやって作ったのか聞いてみると、事前にヨーグルトに漬け込んでおくのだという。ふーん、それだけの手間でこうも美味しくなるなんてね。付け合せもな〜んにもなしでパクパク平らげた。

 ラディッキオ、そしてタンドリーチキン。いまのところ、最強のペアである。

番外編

 珍しく炭水化物を抜いたものだから、なんだかもう一軒行ってもいいような気になっている。普通の人間ならこれでじゅうぶんなんだろうけど、私はやっぱり視床下部がイカれ気味。今夜はチョロリではなく、恵比寿のソウルバー。もちろん、ちゃんとソウルを聞きにいくところなんですが、ときたま、深夜にここのスペシャルな白いアレを食べに来る。巷(モレスク関係者のみであるが)では「白いの」で通じる。白いのとは、チョリソーと玉子のマカロニグラタンである。白いのはホワイトソースから来ているのだが、これが何というか懐かしい昭和の味で、ゆで玉子がゴロゴロ入った禁断の旨さなのである。深夜に食べる高カロリーなひと品。いけないことはわかっている。わかっているから余計旨いのである。馬鹿馬。

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