南森町「つるまるうどん」
銀行帰りにふらり自転車で立ち寄る
会社近所の立ち食いうどん。
これはこれで、なかなかいけるのである。
銀行へ出かけるというのは私の大切な仕事である。お金をおろしたり、両替したり、税金を払ったり。取引している銀行が南森町の交差点にあった頃から、いつのまにかその銀行の隣にある立ち食いうどんへ行く癖がついていしまい、銀行に行く=うどんを食べるというのがすっかりセットになってしまった。もともと昼時に行くことが多かったせいかもしれないが。
今は銀行が少し離れた場所に移転してしまったので隣はコーヒーショップだが、銀行=うどんとすでに刷り込まれてしまっているので、「銀行に行ってくる」と会社を出て用を済ませると、そのまま自転車で南森町交差点へ向かう。
めざすは「つるまるうどん」。
あの高松の深夜カレーうどん店とは別物である。こちらを経営しているのは大阪のフジオフードであるが、ここのうどんはなかなかいけるのだ。
その理由は、冷凍うどんを使っているところにある。ちゃんと手打ちうどんの工程で打ってゆがいたうどんを瞬間冷凍。注文が来ると、その冷凍うどんを熱湯でもどすのである。これにより、いつでも釜揚げのあの状態が復元できるのだ。うどん県の人間としては、昔は冷凍なんてと馬鹿にしていた頃もあったのだが、加ト吉の冷凍うどんを食べてからというもの、日本の冷凍技術には感服している。ヘタなうどんを食べるくらいなら、加ト吉の冷凍うどんのほうがずっと美味しい。なので、この店が自家製麺を冷凍していると聞き、試しに入ってみたのが通うきっかけになった。今はだしが少し甘めの関西風になってしまったが、前はいりこの匂いがぷんとする黄金色のだしであった。これなら、いける。なわけで、こちらの店はもう、少なく見積もっても15年以上は通っている。
この十年ほどの間に店舗は何度かリニューアルしており、現在の店で働いている人はなんとなく顔を見知っている程度であるので安心である。前は、すっかり顔を憶えられており、行くたんびに「まいど〜」と大声で言われるので、ちょっと格好が悪かった。なにしろうどん県の立ち食いとは違って、ここは大阪。立ち食いで食べている女性など私以外にはほとんどいない店なのだ。
定番はきつねうどん。それにちくわの天ぷらをトッピングする。この日はあいにく、ちくわが売り切れ。そんなときはかき揚げでもよい。茄子の天ぷらというのもあって、それも悪くはない。それに、素材がなんであれ、店頭でおばちゃんが衣をつけ揚げてくれるというスタイルにはやっぱり心惹かれるのである。
明日あたり、久々に銀行に行かなくちゃ。