銀座のイタリアン
予約を取るのが困難だと聞いていた。
LOぎりぎりに滑り込んではみたものの
これはただのチェーン店の味とサービス。
基本ネガティブなことはあまり書きたくない。美味しいとか不味いとかはあくまで主観的な話であるからだ。だけど、ときに書かずにいられなくなるときもある。第57夜は店のサービスだったが今夜は両方だった。この日の宿は有楽町。銀座に到着するのは9時半頃。最近イタリアンを食べていないので、名古屋を過ぎるあたりから、口が完全にマンジャーレ状態になっていた。ネットで銀座の店を調べていたら、この店がヒットした。電話するとうまい具合に空いていた。ラストオーダーは10時。5分前に駆け込む。ここは前菜、パスタ、メインをメニューから選べるプリフィクススタイル。客層は圧倒的に若い。できるだけオーソドックスなメニューを頼んでみた。
前菜は、注文するやいなや、というくらいの早さで出てきた。マグロとアボガドのタルタル。チコリの上に乗っていて、浅葱がかかっている。私でも簡単につくれるシンプルな料理だから、プロはどんな味にするのだろうという期待があった。だが、これなら私でもつくれそう。それにやや味が濃い。どうってことはない。パスタはクリームスパゲティ。パスタはいい具合のアルデンテではあるが、いかんせんクリームソースが塩辛い。メインは秀味豚のカツレツルッコラとトマトサラダ添え。泣きたくなるほど普通だった。こちらもかなり塩辛い。
店の向かいにもうひとつ店があるのか、はたまた洗い場があるのだろうか。スタッフがバタン、バタンと大きな音を立て、入り口から何度も出入りする。二重になったドアの建て付けが悪いのだろうか、かなり大きな耳障りな音だ。とても気になる。店全体がざわざわしていたり、スタッフの声が気持ちよく通っているような活気ではなく、ここに満ちているのは雑音だ。ホールの給仕もしっかりした女性が二人いるにはいるが、男の子はぎこちなく、不躾で、年配の男性も気が利かない。店自体はチープなつくりである。それならそれでもっとフレンドリーな雰囲気を演出すればいいのだが、それもない。これなら、今どきのファミリーレストランの方が、ずっといいのではないか。そんな気持ちになった。
昔は美味しくいい店だったのかもしれない。だが、店が大きくなり、作り手が変わり、客が押し寄せはじめると、当初の味とサービスをキープし続けるというのはとても難しいことだ。気軽なカジュアルさをめざしていることはよくわかるが、カジュアルということとただの無造作というのは違う。私が厳しいのかもしれないけれど、大人も若者も一緒に気軽に楽しめてこそのカジュアルである。それに味の濃さ、塩辛さ。私が年を取り薄味になったのか?など自問自答してみるが、ちゃんと塩気がフォーカスするところは他の店でもいっぱいある。やはり、ここの味は全体に塩辛いと結論づけてもよかろう。
今回選んだメニューがたまたま悪かった?これだけで結論を出してしまうのは、申し訳ない?いろいろ考えてはみたが、店との出会いもやはり一期一会。もう一度試してみたいと思わせるには何かが決定的に足りない。非常に残念な夜であった。