千夜千食

第112夜   2014年7月吉日

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神戸三宮「良友酒家」

ああ、今夜は三宮でお好み焼きが食べたい!
久しぶりに訪れるも、目当ての店はまさかのお休み。
で、衝動的に近くの中華に入ってみたら・・・

 関西に住んではいるが、そんなに頻繁にお好み焼きは食べない。だが、三宮元町にあるお好み焼き店は好きで、昔はちょくちょく食べに行った。近頃は三宮自体に行くことがめっきり減っているので、年に一度か二度行けれればいいほうである。その年に一二度のチャンスも、定休だか臨時休業だかはわからないけど駄目になってしまった。すっかりお好み焼きの口になっているので、これを他のものに替えるのが非常に難しい。思案しながら歩いていると、中華の看板。お好み焼きから中華への変更はまだなんとかできそうである。それに、この店は前から気になっていた。ひとりでも大丈夫かしらん・・・

 ひとりでもまったく大丈夫であった。

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 ひと皿ひと皿は中華にしては小さめであることをまずは確認する。街場の中華と高級中国料理、前者を0に後者を10にした場合、7.5ぐらいの感覚か。メニューに海鮮如意巻というのを発見した。如意巻というネーミングに感じ入る。うーん、確かに何でも巻こうと思えば巻けるしねえ。見た目もたいそう美しい。芯にはアスパラガス、海老とイカをすり身にしそのあいだに海苔をはさみ、さらに湯葉で巻いて、揚げるという手の込んだ一品である。中華でありながら、半分以上和の領域に踏み込んでいる。塩でいただくというのもなかなかよろしい。はっきり言って旨い。スターターとしては上々である。続いて蒸豆腐餅。これは豆腐のミンチ蒸しであるが、ふわふわの豆腐の中にミンチが隠れてい、葱といい醤油ソースといい、こちらも和のエッセンスが色濃く漂う皿である。何より、豆腐でつくっているというだけで、妙に健康的な雰囲気がするし、軽い食感なのでぱくぱく食べられる。ここまで大正解である。めったに飲まないビールも進む。

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 〆は海鮮冷麺。やはり夏は冷麺が食べたくなる。こちらのはほうれん草のヘルシー麺に海老、イカ、ホタテ、わかめ、クラゲ、にんじん、きゅうり、もやし、サラダ菜がびっしり乗っており、麺が見えないほどの充実ぶりである。黒ゴマだれをたっぷりかけていただく。うん、なかなかよろし。麺の食感も、たれの味も、私好みである。惜しむらくは海鮮のレベル。この価格でフレッシュを使うのは無理であるのはよくわかっている。もちろん、冷凍ものを解凍しているであろう。それはそれでいいとして、戻し方である。若干ではあるが、ホタテや海老に独特の匂いを感じてしまったのだ。具はひとつひとつ立派で、イカなど丁寧な切り込みが入っている。ちゃんと素材を大事に扱っていることがよくわかるだけに、それだけが残念であった。もちろん、あかん、というレベルではない。あくまでも私レベルのわがままである。

 総合力としては、なかなか素晴らしい店であると思う。そこそこの人数で来て、手当たり次第注文してワイワイ言いながら食べまくる、ということを久々にしたくなった。そういうの、昔はよくやったけどね・笑。