千夜千食

第170夜   2014年12月吉日

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最後の「エッグベネディクト」

帰国する直前までエッグベネディクトを食す。
あんたも、ほんま好きねえと言われそうだが
ほんま、好きなんだからしかたがない。

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 Park Hyatt の寝室は西を向いているのだが、強烈な朝日が入る。何故かというと、お日様が摩天楼のガラスに反射してまっすぐに部屋を直撃するのである。これは凄い。逆反射する朝日を浴びるという、マンハッタンでしか体験できないゴージャスな朝。フライトは正午近いので、10時過ぎにホテルを出れば余裕で間に合う。せっかくのスイートルーム、ルームサービスで朝食を摂ることにする。いや、本当は斜め向かいのNoma’sでもう一度パンケーキのエッグベネディクトを食したかったのではあるが、千夜千食のためにも違うのも食べておかなきゃということである。

 169夜には書かなかったが、昨夜ちょっとしたトラブルがあった。まず、昨日部屋を出て行くときにドントディスターブランプをつけたままにしたことに気づき、一階のレセプションで消し忘れただけだから部屋は掃除しておいてねと伝えたのにもかかわらず、夜帰ってきたら部屋の清掃がなされていない。まもなくパーティでみんなが来るので、タオルとアメニティの補充だけをしてもらった。これだけでもホテルとしては失態であるのに、昨夜はもうひとつイライラする出来事があったのである。みんなでシャンパンを飲んだり、料理をいただくので、グラスとお皿、それにナイフとフォークのセットをルームサービスで頼んだ。電話で対応してくれた男性は、グラスは何に使うのか?と詳細に聞いてくれ、シャンパンとワインの両方飲むならそれぞれ違うグラスがいるね、など気の利いた対応をしてくれ、おおさすがと思っていた。ところが、部屋に届くまでに信じられないくらいの時間がかかったのである。ほとんど一時間。途中何度か電話でプッシュするのだが、もう出ると返事はいいのだが、いっこうに動いてくれない。料理のセッティングが終わっているのに、なかなか乾杯できずみんなイライラ。やがてやってきたおじさんは、ワイングラスを持って来てないし、なんだか要領を得ない。結局、二度往復してもらい、それにも信じられないくらいの時間がかかったのである。

 思うに、電話に出るレセプションの人間はおそらくハイアットの生え抜きであろう気の利いた対応をするのだが、それを実施するルームサービスサイドとの連携がうまく取れていないようなのである。テキパキと洗練された様子と、やる気のないレイジーさの対比がくっきりと浮き彫りになる。アタマとカラダの連携プレイができていない。オープンやリノベーションラッシュのニューヨークのホテルはもはや供給過剰なんだろうなあと思う。実動部隊の教育が行き届いていないから、ハイクオリティな対応がキープできないのである。東京のホテルでも似たようなことはよくある。とくに新しいホテルほど同じような問題を抱えている。

 そんな状況で、そんなにゆっくりも待てない朝食のルームサービスは少し心配でもあったが、15分ほどで迅速に持って来てくれた。運んでくれた人も昨夜とはうってかわったきびきびした物腰で、朝と夜では印象がまったく違っていた。

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 肝心のエッグベネディクトは、軽めのボリュームで申し分がない。サラダの量も少なめで、卵好きとしてはポーチドエッグだけを堪能できるので、さくっと食べたい朝食としてはすこぶるよい具合なのである。白い皿に盛りつけている様も、非常に洗練された印象だ。こういう引き算された洗練こそがハイアットスタイルであろう。何より贅沢な付け合わせは、ビルの谷間から望むセントラルパークの風景である。コーヒーを二杯いただき(部屋で煙草吸いたかったなあ・・・特別に200ドル払うと吸わせてくれるという。部屋のクリーニングのための代金であろう。さすがに、そんな根性も金もないけれど・・・)、ゆっくりしたところで、チェックアウトした。

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 最後に、振り返って部屋を眺める。タマミちゃんが持って来てくれた花が、二日間目を楽しませてくれた。さよなら、ニューヨーク。また来年。