千夜千食

第187夜   2015年2月吉日

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京都三条「ブランカ」

パーティの後に勝手知ったる面々と
京都でがっつりごはんということになれば
今は、間違いなくこちらに直行である。

 今夜はあのソニア・パークさんが主宰するブランドARTS & SCIENCE京都店オープンのレセプションパーティである。満を持しての京都デビューである。私も近頃けっこうハマっているブランドなので、招待状をいただいた。二条木屋町のあの通りの一角があんなに人で賑わっているのを初めて見た。店内は人がぎゅうぎゅうで立錐の余地がないとはこのことだ。なので、さーっと見渡して、レセプション会場へと向かうことにした。

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 現地で待ち合わせしている三浦さんや内藤のわかだんに電話してみると、パーティの前に軽く腹ごしらえしているという。合流するには時間がなかったので、私も川沿いののれんをひょいとくぐる。なにしろ、金沢で居酒屋デビューしているので、もう入れない店はない。ところが、ここがなかなかの老舗であって、突き出しもおでん、日本酒もおいしく、たいそう居心地がよかったのである。だが、この後パーティなのであまりゆっくりもしていられない。後ろ髪を引かれながら、店を後にした。

 パーティの方も、けっこうな人数が集まっており、こちらも満員である。ARTS & SCIENCEの洋服、今までは東京でしか(金沢にも取り扱っている店はあるが)手に入らなかったのである。それが、これからは京都でも買える。関西のファッショニスタたちにはたまらないであろう。少し前に、南青山の店にあった白いスプリングコートがあまりに素敵でさんざん悩み、何度も試着して断念した。それとおぼしき白いコートをソニアさんは会場で着ているではないか。ううむ、やっぱり、自身のブランドだけあって、カッコいい。何より、しゅっとしてはる。スリムな彼女だからこそ着こなせるのだわと、コートを断念したことを己に納得させる・・・。

 パーティというもの、たいていビールやワインをいただいて、おしゃべりするというのが定番であろう。友人の友人を紹介してもらったり、はじめての人と話しが弾んだりと、いろんな出会いがあるのが楽しい。今宵も、わかだんにくっついている着物美女、昔からのお友達かなと思っていると、初対面というではないか。だけど、気の合う者どうしは、なぜか引き合うのである。

 で、こっからが本題なのであるが、宴もたけなわ。そろそろ失礼しようかという話になるのだが、パーティ前に軽く腹ごしらえしているとはいえ、みんなお腹のほうがそろそろグーグー言っている。京都で、それなりの人数で、パーティのシメに行く店といえば、この面子ではあそこしかない。そう、あそこ。「ブランカ(第134夜)」である。タクシーに分乗して、みんなで向かう。

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 三浦さん、内藤軍団、着物美女。総勢7名でカウンターを占拠。いろんなものを少しずつ出してねと、まずは砂ずり。こんなにパクチーがかかっているのは初めてであるが、これがまたよく合うのだよ。コリコリ。青いパパイヤのサラダは、シャキシャキ。この生ピーナッツがまた食感にバリエーションをくれるのである。ここにもさりげなくパクチー。そして島らっきょう。ここに来てこれを食べないわけにはいかないのである。ほのかに苦く、シャキンとした噛みごたえ。たっぷりのかつおぶしと共に、シャリシャリシャキン。このコロッケは、三浦さん特注である。旨い。続いて、オオタニワタリとジャコイリチー。これ、初めて食べた。オオタニワタリというのは、独特のヌメリとシャキシャキ感のある石垣島特産の葉野菜。シダの仲間であるらしく、食用である。この先がくるくるっと巻いているのが、いかにも南の野菜って感じ。この美味しそうな焦げ目のついたのは、九条葱と小エビのチヂミ。石垣島で磨いた腕が、京野菜と出会ったのだなとにんまりする旨さ。

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 そして、誰だ、もち豚のジンジャーステーキなんて頼んだのは。ま、パクチーがこんなにかかっていると、それはそれでヘルシーな気分になってくる。だけどもうお腹がパンパンになってきた。なのに、わかだんがジャージャー麺を注文する。ちょっとだけなら大丈夫かしらん。いや、待って、この皿はなあに?これ、また違う麺じゃない。しかし、この油そばのような一品も馬鹿旨だったのである。拌麺というそうだ。そうしたら、今度はごはんの上に麻婆豆腐が乗ってくる。こんなのもう無茶!と言いながらも、食べるとこれがまた癖になるような美味しさ。しっかり平らげる。一同、ほとんどへらへら笑いながらも、完食。恐ろしい軍団なのである。

 挙句の果てにだよ。

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 店主はごはんを炊いている。宮津の減農薬米。これをちゃっちゃとおにぎりにして、サッと炙った海苔で巻く。このつやつやした米を見て。こんなの出されたら、食べちゃうじゃないの。もちろん、きれいにいただいたことは言うまでもない。

 お腹ぽんぽんの一同、さすがに店を出てからは、それぞれのねぐらへおとなしく帰った。この店はかなり危険である。