千夜千食

第208夜   2015年3月吉日

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神戸六甲道「アドマン」

ここの玉子サンドがめっぽう美味しいと聞いたので。
美容院の帰りに足を伸ばしてみた。
うん、これは間違いのない旨さ。馬鹿馬認定である。

 玉子が死ぬほど好き〜と天皇バーでしつこく叫んでいたら、六甲道でお店をやっているマダムが教えてくれた。あそこの玉子サンドイッチはなかなか美味しいと。素早く脳内メモしたのは言うまでもない。

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 とある週末、午前中美容院に行った帰りに寄ってみた。場所は、JR六甲道の少し北西。宮前商店街の中にある。入り口には昔ながらの看板。サンドイッチ&コーヒー アドマンとある。「アドマン」のロゴの書体が妙に懐かしい。文字そのまんまの意味だったら、アドマンとは広告マンのことである。ご主人が元広告業界だったのかしらんと思いながら、店内に入る。中はごくごく普通の喫茶店の雰囲気である。店主らしき人は、年配のご夫婦。メニューにもおもいっきり年季が入ってる。アドマンは、AD MAN ではなく、A DEMAINであった。フランス語で「またあした」という意味らしい。

 メニューを開くと、ズラリサンドイッチのメニューが並んでい、一瞬迷ってしまうのだが、気を取り直す。玉子サンドを食べに来たのである。だが、玉子のサンドイッチだけでも4種類もある。フライエッグサンド、ハムエッグサンド、チーズエッグサンド、ベーコンエッグサンド。教えてくれた人のおすすめは、ベーコンエッグサンドだったので迷わずそれを注文する。あ、ちなみにメニューには、サンドイッチではなく、サンドウィッチと書かれている。これも店主のこだわりなんだろう。

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 運ばれてきたベーコンエッグサンドは、ひと目見ただけで旨いに違いないと思える佇まいである。たっぷりの玉子とベーコン。しかも、玉子は厚焼き玉子とゆで玉子を刻んだものがダブルで入っているのだ。薄切りの食パンの中に、パンパンに幸せな玉子色が詰まっている。ひと口食べると、厚焼き玉子の豊かなボリュームに、刻んだ玉子の細かな食感が合わさり、身悶えするくらい旨いのである。これぞ、微妙に食感の違う玉子の豊かなデュエットである。ほどよい塩気の効いたベーコンの量もちょうどいい。無心で食べる。あっという間に完食である。

 こんな店があっただなんて。食べている間にも、次から次へとご近所の常連さんらしき人が入ってくる。みんな顔見知りのようで、おしゃべりを楽しんでいる。メニューを改めて見ると、ランチもあるし、デザートに食べてみたいパフェやサンデーもある。昔ながらのきちんとした手順をふんで、ひとつひとつのメニューを誠実につくっている店である。当分は、このベーコンエッグサンドばかり食べるのだろうけど、いずれ他のサンドイッチやランチにもチャレンジしたいと思う。

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 すっかり気をよくし、ぶらぶらと阪急六甲まで歩く。そこで、はた、と思い出したスイーツの店。あることは前から知っていたのだが、なかなか行けなかったボンボンロケットというお店。この時間ならまだきっと開いているはず。ボンボンロケットとは、クリームサンディーズを売っている店で、要はバターサンドである。ただし、ここのはかなりこだわっていて、玉子たっぷりのサブレにバターの風味豊かなクリームをサンドしており、クリームの種類が20くらいあるのである。すでに夕方が近づいていたので、人気のフレーバーは売り切れであったが、オレンジ、ピスタチオ、チーズケーキを試しに買ってみた。さくさくのサブレとふわっと軽いクリームのコンビネーションはなかなか美味しく、こりゃあ悪くない。

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 パッケージやショッピングバッグも素敵で、ちょっとしたギフトにもいいなと思うセンスのよさ。ロゴ入りのマグやバッグ、Tシャツなども店内で販売していたが、箱好きとしてはギフトボックスにかなり萌えた。保存が要冷蔵なので、そんなに遠くまで持っていけないのがちょっと残念。だが、ご近所でしか食べられないということは、自分のためのスイーツとしては申し分ない。

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 普段あまり地元でゆっくりできないのだが、さすがに六甲はまだまだ知らない名店がいっぱいあるのだろう。少しずつ、時間をつくって探検したい。