千夜千食

第49夜   2014年3月吉日

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四川の「海鮮焼きそば」

日曜日のブランチとして
おすすめしたい海の幸の焼きそば。
しみじみと穏やかな味わい。

 あは。また海鮮焼きそばだ。

 シェラトン都ホテルに泊まる理由の80%は「四川」があるからと言えよう。夜はなかなか来る機会がないのだが、ランチはもう常連といっても差し支えないであろう。長らくここのランチにはお世話になっている。メニューも充実しているし、名物担々麺も酸辣湯麺も、もちろん麻婆豆腐も秀逸至極。なので、広東風の海鮮焼きそばは気になりながらも、チャレンジの機会がなかった。

 すでにご承知かとは思うが、かつて地元の店では「海鮮焼きそばクイーン」だった。なので、メニューに焼きそばがある以上、やはり一度は食さにゃいかんだろう。

写真

 二連泊してチェックアウトの日のランチ。海鮮焼きそばも試してみるか。そんな気分で注文してみた。しっかり太めの中華麺。軽く焼き色がついており、少し固めで独特の食感がある。その上にたっぷりの具。写真では具たちに覆われ麺は見えないと思う。さほどに具材が充実しているのである。ぷりっぷりの海老(バナメイではなかろう)、アオリイカ、姫貝柱、干しアワビ、白身の魚、白菜、きぬさや、人参、しめじ、きくらげ。言うなれば、ハレの日の焼きそばである。そんな豪華な感じが漂っている。その名も海の幸の焼きそばである。

 たっぷりと酢をかける。酢の作用であんがゆるむのである。けっこうじゃばじゃばかけるのが好きである。そうしておもむろに、少しずつ、慎重に食べる。

 かなり薄味の広東風焼きそばである。こちらの名物である麻婆豆腐や担々麺のようにガツンと来る強烈なパンチはないが、仕事し終わった週末の安息日のブランチとしては、おだやかなこの味がしみじみと身体にしみわたる。ここのソービニヨンブランのグラスワインとも、とても相性がよい。

 気持ちにもやさしい焼きそばである。